みなさんこんにちは
今回この記事を書いたのは
想像以上に無理して頑張ることを美談として
とらえている人が多いと感じたからです。
もちろん、選手が頑張って準備してきたことや、大会にかける思い、努力の末、代表を勝ち取ったことなど
実際に競技をしていたので痛いほどわかります。
私は現役を引退するまでは無理してでも
追い込むことが正しい、やめることはできない。と思っていました。
今回は無理をして走ることの危険性と正しい判断をする勇気をつけてほしい
思いをブログに更新していきたいと思います。
自身が経験した箱根駅伝での異変
私は2018年、第94回箱根駅伝の7区に出場しました。
その時は当初2区を走る予定でしたが調子が上がらず
復路の7区へと急遽区間変更することとなりました。
不調の理由は「ぬけぬけ病」といわれる
走っている途中に力が入らなくなり、思うように足が動かなくなる症状です。
箱根駅伝を走る前から不安はありましたが、
勝つために、準備をしてきたことを考えるとスタート前に弱音を吐くことはできない、
「自分がチームを勝ちへと導くんだ」その思いしか当初は考えることが出来ませんでした。
コンディションが万全ではない状態で臨んだ箱根駅伝当日、
スタートして異変が出たのは3キロ地点、ゴールまで18キロ残っている地点でした。
異変が出た時は頭が真っ白になりました。
足が動かず前に進まない、足を叩くが全く変わらない、
その状態が最後まで続き
次の選手へとタスキを渡すことができました。
当時の自分は、やってしまった、
という自責の念しかありませんでした。
ゴール後は悔しさと情けなさから涙し、
迷惑をかけた、生きている価値がないとまで考えました。
レース後は肉体的にもダメージは来ており、
ぬける症状が(ぬけぬけ病)が悪化していました。
無理をして長い間乱れたフォームで走ったこと、
精神的なダメージがランニングに表れていたのだと思います。
ランニングは走るだけですが精神的な部分がとても重要な繊細なスポーツです。
大きい舞台で失敗したこと、乱れたフォームで無理をして走ったことが
肉体的、精神的なダメージを生み、ぬけぬけ病が悪化したと思います。
その後実業団で競技を3年間行いましたが
出たレースは5回、自己ベストからも1分遅いタイムでしか走ることが出来なくなりました。
自信があったハーフマラソンではスタートラインに立つことすらできませんでした。
大きい舞台での失敗は体や脳が記憶しやすいと思っています。
実際に出た5レース、メンタルトレーニングを積み平常心で走る努力をしましたが
結果を出すことができませんでした。
実際にどうするべきだった?
正しい判断はやめるべきです。選手ができないのであれば止めるべきです。
ですが、大会の規模が大きければ大きいほどその判断はできなくなると思います。
その理由は、競技の中で教わる陸上の価値観、精神論が根本にあると思います。
努力をしなければ結果は出ないのですが、
この部分を履き違えていると、調子が悪くても
「がんばらなきゃ、もっと練習しなきゃ」と、危険な努力をしてしまう可能性があります。
陸上は長い期間をかけてやっと結果が出るスポーツです、難しいところは
さぼる、のではなく適切な休養をすることです。
これができないと体を追い込んでしまい選手生命の危機が懸念されます。
この判断ができれば練習、試合にストップをかけ、
コーチ、監督に状況の説明、次の行動を迅速にとることが出来ると思います。
無理をしてもいいことはないです。
特にアスリートであれば尚更です。
ただでさえ過酷な練習をしている中で無理をしてしまうことは誰しもが危険だと感じますよね?
今回の東京オリンピックでの選手の状態
記事を見たところ選手の一名は重度の熱中症になっていました。
ゴール付近では蛇行、立ち止まる、シーンなどが映っていました。
ゴール後は倒れこみ車いすでは口を開けたまま意識がないようにも見えました。
ゴールしたことはとても素晴らしいと思います。
色々な思い覚悟が伝わってきました。
選手は走りたい、その思いしかないです、実際に競技をしていたので言い切ります。
そのうえで正しい判断をするのは運営、スタッフだと思います。
止める勇気は選手のその先の未来を守ることにつながります。
今大会、男子マラソンでは30人が途中棄権する事態となっていました。
見ていて過酷な条件であることは伝わりましたし、私的にはとても心が痛く、
選手のその先を心配していました。
選手の生き生きとした走りが戻ってくることだけを祈っています。
参考記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/0d2a32465271aef7f458ea01af0110d37a160933/comments
東京マラソンでやめる決断をした大迫傑選手
2019年の東京マラソンで
大迫選手は29キロ地点でリタイアをしています。
その真相をまとめている記事がありましたので一部抜粋いたします。
「必ずしもゴールにたどり着くことがいいこととは限らない。
やってきたことに妥協はなかったですし、頑張っても実力が出ない時は誰しもあります。」
この判断はその後のMGCの予選を考慮した判断ではあったのですが、
体が動かず焦っている状況下でその後の試合を考えて
棄権を選択することが出来ている選手は他にはいないと思います。
参考資料:https://www.asahi.com/and/article/20190315/856615/
無理して走ることは美談ではないと語る大迫傑選手
第95回箱根駅伝では大東文化大学の選手がスタート直後に捻挫をしていました。
実況では選手に対し「感動をありがとう」と放送されていました。
この実況に対し大迫選手は以下のように語っています。
まとめ
今回のオリンピックでは選手の健康状態を把握できる人を配置し、
選手に危険があった場合は直ちに対策をとる。
そのような準備が必要であったと思います。
今現在、根性論のような無理して走る姿が受け入れられているほうが多いように感じます。
二度と走れなくなる可能性を考え、ストップをかける判断が出来る人が現れてくれることを祈っています。
最後に、私は選手の頑張りを否定しているのではありません、
無理して走ることの危険性を知っているからこそ、こうやって情報を発信したいと思いました。
気を悪くされる方がいましたら申し訳ございません。
感動のあり方が見直されることが来ることを祈っております。
コメント
無理をしている姿は決して美談ではないと私も思います。応援している方はただただ辛いだけで、もう止めてあげて…と思ってしまいます。やはりこの先の選手生命を考えると尚更。うまく言えなくてすみません。工藤くんの思いに同感です。